2012年11月25日日曜日

みかんと印判染付け皿と真砂女のホテル

昨日のことだ。

裏庭のみかんが採りごろのように見えたので、採りに行くと・・・


一本の木の根元の土の下から、磁器の皿らしきものが顔を出していた。掘り出して水で洗ったのがこれら。明治期の印判染付けだった。


採ったみかんはこれ。食べてみると、すっぱいが普通のみかんの味だ。


この日の大工仕事の一部。組み手を彫った壁の受け材。このあとこれともう一本を柱と貫にインパクトドライバーでビス留めした。


このごろはすぐ暗くなるので、夕方5時前に仕事を切り上げた。犬も連れていないので、前から気になっていた鴨川グランドホテルの見学を思いついた。5時半ごろ到着。写真は、海際の庭へ出てプール越しに撮ったもの。


GUNJOという名のレストランはこの庭に面している。最近改修した様子の内装はなかなか結構。6時開店だと言う。応対したフロアマスターの態度も立派。説明書によれば、料理総監督がもとデンマーク女王の専属シェフだそうだ。ニール・フレデリック・ウォルターという名前は美味そうに思えなかったが、思い切って夕食を試してみることにした。

料理は一流だった。ディナーのセットを注文したが、蟹と根菜類を合わせたオードブルは斬新で美味。メインの鮑とホウボウと野菜の取り合わせも良かった。ウェイターの応対も和やかでしっかりしている。

こんな立派なホテルが鴨川に有ったのだ。創業数百年の老舗旅館「吉田屋」が前身で、俳人鈴木真砂女がそこの娘でかつて女将だったことを知った。

ホテルの地階に真砂女の記念館があるという。行ってみると我輩以外誰もいず、一時間ほどゆっくり見せてもらうことができた。真砂女の俳句は、それまで読んだことが無かったが、とても好きになった。

しぐるるや 煮物に入るる 燗ざまし     真砂女

記念館に昔の吉田屋のパンフレットが展示してあった。その文言が一々気に入ったので紹介するが、さすがに全文は長すぎるので、冒頭部のみにとどめる。原文はもちろん旧字。

「東京の、あの混濁せる空気と、渦巻く黄塵とにお悩みの方々が、僅か三四時間で極めて手軽に晴々した御気分になれるお誂ひの処は、何と言っても南国味豊かな房州の海でございませう。殊に外房鴨川は面白い物語や珍しい景色や史跡が沢山あって、必ずや皆様の旅心をたっぷり満たす処でございます。東京辺では寒さに戦く厳寒の頃にも、此処には菜の花が咲き、碧い波から送られるすず風に全く夏の暑さを忘られるなど、真に避暑避寒の理想郷でございます。」


0 件のコメント:

コメントを投稿